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久しぶりのコラムの更新です。
今回は世界初のお話。
ストップウォッチ機能が付いたクロノグラフは、ダイバーモデルと並びスポーツモデルを代表する人気シリーズです。
特に自動巻クロノグラフ発売以降、現在のモデルに通じるような重厚でスポーティーなデザインが多くなったように思います。
自動巻クロノグラフが発売されたのは1969年、思い浮かぶのはスイスのゼニス社のエルプリメロ、ホイヤー、ビューレン、デュポア.デピュラ社共同開発によるクロノマチック、そしてSEIKOのスピードタイマーによる、「自動巻クロノグラフ誰が一番最初問題です。」
結果を先に申し上げれば、世界で初めて自動巻クロノグラフの開発成功の発表をしたのがゼニスで、世界で初めて自動巻クロノグラフを発売したのがセイコーです。
それがこちら。
厳密に言えば、インダイヤルが1つ目のREF.6139がそれにあたります。
垂直クラッチによりクロノグラフ作動時の針飛びを防ぎ、動き出しも滑らかで見ていて気持ちが良いくらいです。
価格も当時10万円以上の高級品だったスイス製クロノグラフに比べて、こちらは2万円切り!
スイス勢と比べて半額を余裕で超える破格のプライスは大ヒットを記録しています。
もちろん価格差による違いはあれど、最先端だった自動巻クロノグラフを買いやすい価格で発売可能にしたセイコーが与えたインパクトは大きかったと思います。
さらにそのすぐ後には世界初のクオーツ式腕時計を発表。
この時代のセイコーの勢いを感じます。
ちなみに、画像のモデルは6139の上位機種6138です。
インダイヤルが2つ目になり、手巻きも付属します。
秒針も追加した3つ目が理想ですが、ここにきてようやくクロノグラフとして他社と比べても見劣りしない性能を手に入れます。
ヒット商品だけあって生産本数は多く、バリエーション豊富で数多くの人気モデルが存在しますが、程度の良い個体はなかなか見かけません。
大衆メーカーゆえの扱われ方なのか傷だらけの個体が多く、メーター表記のモデルも傷により下地が見えていたりします。
そんな事言ったら国産時計のほとんどがそういう扱われ方していると言っても過言ではないのですが、特にスピードタイマーやダイバー系は多いです。
前置きが少し長くなりましたが、今回入荷した6138は裏蓋に保護シールが残った状態です。
ブレスには当時のコマ外しの説明書まで残っています。
このシールはたまに見かけますが、薄汚れて剥がした方が良いのでは?的なくらいに傷んで字も掠れています。
文字盤、ガラスも含めて大変キレイな状態で、未使用かそれに近いレベルです。
私がお店を始めた15年前ならこういったレベルの個体もちらほらと見かけていたのですが、近年高まる国産時計の再評価により最近はほとんど出てこなくなりました。
見ていて気持ち良いくらいにキレイな個体です。
セイコーのみならず、時計史においてもスピードタイマーが与えた影響は大きく、そのストーリーは所有者に高い満足感も与えてくれます。
是非ご検討下さいませ。
それではまた次回。